語学学習日記(フランス語学習)ハリエット嬢(105)


ハリエット嬢(105)
Miss Harriet
Maupassant


——————————【105】————————————————

 Oh !  c' était  un  drôle  de  bonhomme  que  son  bon
Dieu,   une  sorte   de   philosophe   de  village,   sans  
grands  moyens  et   sans  grande   puissance,   car  elle
se  le  figurait  toujours  désolé  des  injustices  commises
sous   ses  yeux —— comme   s' il  n' avait  pas  pu  les
empêcher.


———————————(訳)—————————————————

 ああ!ハリエットさんのいう神様とは、それは希代な
おやっさんなのでした.村の先生といった感じで、たい
した力もなく、これといった権威もありません.なぜか
といえば、彼女はいつも神様のことはいつも眼下で不正
が犯されるのに残念な思いを抱いている神として心に描
いていたのでした ——まるでその神が不正を阻止でき
ないかのように.


  

...——————————〘語句〙————————————————
              
un(e) drôle de ...:奇妙な、おかしな、変な      
bonhomme:[ボノム](m) [話] 人、男、やつ  
philosophe:(名詞)[フィロゾフ] 哲学者、思想家、道学者    
moyens:(複数) 能力、才能 <moyen:(m) 手段、方法                   
puissance:(f) 力、強さ、権力、権勢、権威   
figurait:(半過去3単) <figurer (他) (図、形、記号で)
      表す、描く
      Les église sont figurées par une croix sur la cartee.
      教会は地図の上で十字で示されている.
se figurer:(pr) 心に描く、想像する
commises:(過去分詞複数) <commiser   
yeux:[ィユー](男複)<œil (m) 目          
comme si:(英語:as if ...) あたかも…であるかのように
empêcher:(他) 妨げる、じゃまする

 

—————————≪文構造が不明でした≫————————————

c' était ...que ~ 「~は...だった」という強調構文だ
とは思うのですが、que 以下が文ではありません.
次にくるのが名詞単独ならque はいらないのですが….
que のあとに名詞が単独で置かれる場合は比較級しかな
いはずですが、なぜ、ポツンと名詞が来ているのかが
不明で、何か別の意味があるのか調べてみましたが、
わかりませんでした.

 では「訳本」ではどう訳されているか、気になった
ので『ミス・ハリエット』(パロル社)でこの箇所を
見てみました.そこの箇所の訳は次のようでした:


 それにしても彼女の神様はなんて変てこなやつだった
のでしょう! たいした才能もないし、たいした権威も
ない、いなかの道学者みたいでした.

訳本のほうも、que を気にせず(無視して)訳されてい
るようでした.この項目、もし後日説明できる次第にな
れば、また註釈しに戻って参ります.

今回は、このへんで!