語学学習日記(フランス語学習)ハリエット嬢(163)


ハリエット嬢(163)
Miss Harriet 
Maupassant


——————————【163】———————————————

 Puis   j' enlevai    ses   vêtements   trempés   d' eau,
découvrant  un  peu,   avec  honte,   comme  si  j' eusse
commis  une  profanation,   ses  épaules  et  sa  poitrine, 
et,   ses    longs   bras    aussi    minces    que   des  
branches.


———————————(訳)————————————————

 それから私は何か神聖なものを冒瀆するような気もちで、
気がねしながら、水でぐしょぐしょに濡れた彼女の衣服を
取去り、肩と胸、そして木の枝のように細い彼女の長い両
腕を少し、はだけさせたのでした.

 
..——————————⦅語句⦆——————————————
      
enlevai:(単純過去1単)<enlever (他)
   ① (de から) 取除く、のける、消し去る 
        よそに移す、         
trempés:(形、p.passé/複/男) 浸した、濡れた
   < tremper (他) 浸す、つける、ぬらす      
eusse:(接続法半過去1単) < avoir
commis:(p.passé) < commettre (他) 犯す
avec honte:気がねしながら
†honte (f) 恥、恥しさ、気がね、気おくれ、
    はにかみ、遠慮     
profanation:(f) 冒瀆、不敬、瀆聖、瀆神     
épaule:(f) 肩      
poitrine:(f) 胸、胸部           
mince:(形) 薄い、細い、ほっそりした、すらりとした
branche:(f) (木の)枝、分枝;
    L'arbre étend ses branches. / 木が枝を伸ばす.


——————————≪文法≫ ———————————————————

単語欄でeusse を:接続法半過去1単と挙げましたが、
文法をうるさくいうと、後続の過去分詞 commis とペア
で、接続法大過去を構成しています.この学習日記をご
らんのみなさまは、きっと私と同じく、NHKのラジオ
講座卒業生だと思いますので、会話では使わない接続法
大過去はご存じでない方もいらっしゃるのではないでし
ょうか.ちょっとだけ見てみましょう.
 これは主節が直説法過去(過去の種類を問わず)のと
き接続法が要求される従属節においては、その従属節で
さらにその過去を述べるとき、「大過去」が用いられます.
大過去は、接続法半過去の助動詞avoir あるいはêtre と
過去分詞で作られます.ここではまずavoir の半過去を
見てみましょう.
—————【avoir 接続法半過去】—————
j' eusse [ジュス]...........nous eussions [ヌー ズュスィヨン]
tu eusses [テュ ユス]......vous eussiez [ヴー ズュスィエ]
il eût [イ リュ]..............ils  eussent [イル ズュス]  
—————————————————————

—————【avoir 接続法半過去応用】———————
 commettre un crime:「犯罪を犯す」を大過去で
j' eusse commis un crime [ジュス コミ アン クリム]
tu eusses commis un crime [テュ ユス コミ アン クリム]  
il eût commis un crime  [イ リュ コミ アン クリム] 
nous eussions commis un crime  [ヌー ズュスィヨン コミ アン クリム]
vous eussiez commis un crime  [ヴー ズュスィエ コミ アン クリム]     .
ils eussent commis un crime  [イル ズュス コミ アン クリム] 


————————≪文構造≫—————————————

尚、上述の大過去が挿入されているので、文構造が掴み
にくくなっています.挿入を取り払いますとこうなりま
す.
Puis j'enlevai ses vêtements trempés d'eau, découvrant un peu,   
avec honte ses épaules et sa poitrin.
それから私は気がねしながら水に濡れた衣服を取り払い
少し彼女の肩と胸をはだけさせました.  

つまりdécouvrant の目的格補語はses épaules et sa poitrin.
(テキストでは目的語はまだ続いています)