ハリエット嬢(76)
Miss Harriet
Maupassant
—————————【76】——————————————
C'était sa roche, paraît- il, celle où elle grimpait
pour rèver à son aise.
..—————————《訳》———————————————
おそらくその岩こそ、彼女が這い登った岩だったに違い
ありません.その岩の上で自由に夢想に耽(ふけ)ることが
できたのでしょう.
.—————————〘語句〙——————————————
roche:(f) 岩、岩石、岩盤、
paraît-il:(文挿入) どうも~のようである、
[本来のil paraît ~ が倒置され、副詞句化したもの]
grimpait:(半過去3単) <grimper (自) よじ登る、這い上がる
rêver:(自/他) (の)夢を見る、夢想する、ぼんやり考える
(ばかげたことを) 空想する、あれこれ考える
aise:(f) 気楽、くつろぎ
à son aise:気楽に、楽々と、裕福に、自由に
—————————≪感想≫——————————————
さっぱり、わけがわからなかったので、今回の学習は
これだけになりました.何がどうわからなかったか?
それはこう訳していたのでした:
「それはカンバスの岩でした.ハリエットさんは気楽に
夢見心地を得ようとして、絵に近づきました」
でもこれではこれまでの文章の流れからすると、ヘンテコ
リンです.そこで、困ったときの訳本を見てみました.
何と、sa roche がネックで、ここが誤訳の根源でした.
英語なら、「カンバスの」と訳すならits、「ハリエットさんの」
と訳すならher なのですが、フランス語はどちらもsa なので、
sa には注意が必要でした.今思えば、岩が描かれているのは
当然カンバス上なので、わざわざsa にはせず、la だったでし
ょう.sa ですぐに、「彼女の岩」とピンと来なければなりませ
んでした.さあ、問題はこんなバカな私がこの本を最後まで
読み切れるのかどうか!まあ、こういうことです.力尽きた
ら、そこでオクラ入りとなります.その場合はすみません.
さきに謝っておきます.「ごめんなさい」