語学学習日記(フランス語学習)「スガンさんの山羊」(24)(ドーデ短編集より)


スガンさんの山羊(24)


——————————【24】———————————————————————
               
 Tu  penses,  Gringoire,  si  notre chèvre  était  heureuse !
Plus  de  corde,  plus  de  pieu...rien  qui  l'empêchât  de 
gambader,  de  brouter  à sa  guise ...C'est * là  qu'il  y en
avait de l'herbe ! jusque  par-dessus  les cornes,  mon cher ! ... 


——————————(訳)——————————————————————
              
グランゴアール君、君もそう思うだろう、この我らが山羊君
がどんなに幸福であったことか.もはや、綱もなく、杭もな
い.山羊君を邪魔するようなものは何もなかったのだから.
跳び回り、草を食むことも、お気の召すままだった...
まさにそこにおいてこそ牝山羊君の頭の角を越す高さの
草があったのだよ.


——————————《語句》——————————————————————
                   
pieu (m)(複piux) 杭 
rien qui l'empêchât  山羊の妨げになるものは何もなかった
   l' はla 牝山羊   empêchât (接続法半過去)
 < empêcher (他) ~を妨げる  
   empêcher qn de + 不定詞  (qn)が~するのを妨げる
gambader (自) (陽気に) 飛び跳ねる、はしゃぎ回る、
        気ままに振舞う  
brouter (他) (草・新芽を) 食う
  Les biches broutent le gazon.
    雌鹿が芝草を食べている.     
guise (f) [古] 仕方、流儀
à sa guise    思うままに、好きなように
     À votre guise!
   お好きなように!    
par-dessus (前) ~の上に[を、の]、~を越えて     
cornes (pl) <corne (m) 角


——————————【文法】——————————————————————
                  
* c'est là  qu'il...  そここそは ...
     c'est + 強調したい語句+que ~
これは強調構文と呼ばれているものです.c'est  que をはずしても
文章は成立しています.
C'est là qu'il y en avait de l'herbe jusque par-dessus les cornes.
そこにこそは、頭上(つのの上)にまで草がありました.
c'est  que をはずすと
Là, il y en avait de l'herbe jusque par-dessus les cornes.
そこには、頭上(つのの上)にまで草がありました.

文章の中で、強調したいものを前に
もってきて、それをc'est とque で挟みます.
en は de l'herbe のことです.「部分冠詞+名詞」や
不定冠詞+名詞」を受ける一種の人称代名詞に
なっています.さらに、どういうのか、一種の先行詞
のような役目もしています.先に「それがあるんだ」と
言っておいて、あとから「たっぷりと草がね.」 
と補う言い方です.
特別な言い方ではなく、よく日常会話でも使います.
たとえば、パン屋さんで、買うパンが決まって、
「それを3つ下さい.」などという時は、
 J'en preds trois.
「それを1つ下さい.」なら、
 J'en prends un.
友人との会話などにも頻繁に発話されます.
Tu as des liveres des Beatles ? / ビートルズの本持ってる?
_Oui, j'en ai. /  ああ、持ってるよ.
_Non, je n'en ai./ いや、持ってない.