語学学習日記(フランス語学習)「スガンさんの山羊」(18)(ドーデ短編集より)


スガンさんの山羊  (18)


—————————【18】——————————————————————
     
——Pécaïre !*¹   Pauvre Renaude !...Ça ne fait rien*², mon-
sieur  Seguin, laissez-moi  aller dans la montagne.  
——Bonté divine !...*³ dit  M. Seguin ;  mais qu'est-ce  qu'on
leur*⁴ fait donc à mes chèvrës ?   Encore une *⁵ que le loup  va 
me manger ...Eh bien, non ...je te sauverai malgré toi ..
 

—————————(訳)——————————————————————
         
——まあ、お可哀そうに!お気の毒なルノードさん!
 でもスガンの旦那様、構いませんわ.山の中に行かせて
 下さいな.
——やれやれ!...とスガンさんは言いました.それにして
 も、私の山羊たちは、いったいどうなっているんだろう?
  またもや、狼が私の山羊を1匹食べることになるなんて...
  よし、そうはさせないぞ.あんたには不本意乍ら、私は
 救ってあげよう.
 

—————————《語句》——————————————————————
         
sauverai (単純未来) <  sauver (他) 救う、助ける
*¹   Pécaïre ! [発音ペカイール] 南フランスで用いられる
  言葉で、同情を表す間投詞「まあ、可哀想に」
*²  Ça ne fait rien  一向に構いません
*³   Bonté divine ! (プロヴァンス語)  Bounta de Dieu ! 
    を訳した間投詞.「やれやれ、情けないことだ」    
*⁴  qu'est-ce qu'on leur fait donc:直訳すると
(一体、人は彼女たちに何をしようというのか).この
後にくる  à mes chèvrës は leur を補足して明確にした
もの.
*⁵ une : une chèvre     Encore une que le loup va  
   me manger.  このencore は、「また」という意味.
  述語動詞がなく、une (chèvre) が単独(que以下の
  修飾文はありますが)でポツンと一軒家になってい
  ます.ここは、il y a とかvoila を補ってみると、わ
  かりやすいでしょう.    
   Il y a encore une chèvre que le loup va me manger.
  またもや狼が私から食べようとする一匹の山羊が
  いる. 
   尚、「私を食べる」のではなく「私の羊を食べる」
  となります.
   狼が食べるのは、関係代名詞の先行詞、une chèvre
   です.食べるのは狼、食べられる側は「私」そして
 「山羊」.「私」は所有する山羊が食べられることに
 なります.この場合の「私」me は 間接目的補語
 ですが、文法的には奪格 と呼ばれるもので、「~から」
 ここでは「私から」と訳します.